13May
ゴミ屋敷に関する過去の訴訟情報についてあたってみました。
エトセトラ、エトセトラ、お伝えします。
まず、判例を探すことは非常に困難でした。
一例拝見しましたので、敬意をもって転載させて頂きます。
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【いつ】平成25年1月9日
【どこで】東京簡易裁判所
【誰が誰に】区分所有者が理事長に対し
【どのように】ゴミ問題処理に5カ月を要した管理会社の責任を不問に付したため、不法行為または債務不履行にあたるとして損害賠償を請求した。
【結果】請求は棄却された。
~経緯~
・投資用マンションで、2階の住民が共用廊下にゴミを積み上げるようになり異臭も漂うようになったが住民の協力が得られず、また私物を勝手に処理することは問題との管理会社の見解もあり、ゴミ問題の解決に5カ月ほど要した。
・原告の区分所有者は1階の区分所有者で居室の賃借人が退去し、新規募集をしたが空き室が続いた。
・理事長が問題の解決に5カ月を要した管理会社の責任を不問に付したことは、区分所有者との関係で善管注意義務に違反し、不法行為又は債務不履行にあたるとして損害賠償を請求した。
~ポイント~
・ゴミが放置されていることは受忍限度を超えるか否か、期間によっては共同利益に反する行為にあたりうる。
・しかし、勝手に処分した場合には、相手から所有権侵害を理由に損害賠償を請求される可能性がないとは言えない。(一戸建てのゴミ屋敷問題等で、地方公共団体等が対応に苦慮していることは顕著な事実である)
・管理会社は訪問、電話、書面による勧告、管理組合への報告、私物に警告文を張り付けする等の対応をとっている。
また、行政機関に対応を求め強制処分のための法的手続きも検討していた。その後も管理組合役員当てに現地写真を添付した上で強い警告文を送付し、改善が見られない場合は法的強制手続きを行う必要性を指摘し対応の指示を求めた。
・理事長は複数での訪問による指示や、法的検討をするよう指示する緊急理事会を招集する等の対応を進めていた。
・その後、管理会社が住民の同意を得てゴミ袋16袋を処分し解決に至った。
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では、どのように問題解決しているのでしょうか?
ひとつは行政に相談して動きます
(こちらの限界、実状については過去のコラムご参照ください)。
ひとつは民間のプロ、産業廃棄物、一般廃棄物処理の業者に相談します。
そして、もうひとつあります。
民間資格ですが「敷金診断士」と云うものが存在します。
【参照】
原状回復と敷金の扱いについては「敷金診断士」と相談可能。
最寄りの敷金診断士は日本敷金診断士協会で検索可能。
■日本敷金診断士協会
http://www.shindanshikai.org/
ゴミ屋敷状態でも一応、国交省のガイドラインは適用できると考えられます。
ゴミ屋敷状態になっていると壁や畳、ふすまやドアなどの建具にも、相当の汚損が生じており、悪臭や害虫等が大量に発生する原因となっています。
これにどう対処するか?
誰が、どう責任をとるのか?
・そもそも退去時点で「ゴミが大量に残っている」
・ゴミを蓄積させていたため、床や畳、壁、建具等に毀損や汚損がある
・ゴミを蓄積させていたため、悪臭や害虫の発生が著しい
というような場合ですが、これは十分に「賃借人の故意または過失」を立証しうると思われます。
ゴミを大量に蓄積したため「床や畳にシミが付いた」とか、もっと酷い例では「床や畳が腐敗した」とかいうようなケースでは、そもそも通常の使用(通常の損耗)の範囲を超えている訳なので、明らかに「賃借人の責任」であると言うことが出来ます。
この他にも壁や建具の汚損、悪臭・害虫の発生なども「通常の使用(通常の損耗)」の範囲を超えますので、賃借人の責任を追及することはそう難しい事では無いと思います。
これらの状態からの復旧については、敷金から原状回復費用を支出して差し支えないと考えられますが、修復する場合は「減価償却」という考え方を出されるリスクがあります。
家主さんの場合は「ゴミ屋敷」の住人が退去して、次に入居する人に不利になります。
次の入居者に対する説明義務は無いという考え方が一般的ですが、人の口、噂に戸はたてられません。
「ゴミ屋敷にした」ことに対して損害賠償請求が出来るか?
こちらは難しいのではないかと推測します。
ゴミ屋敷にされたことで「損害が発生した」こと、因果関係等を立証することが困難です。
このような意見をもってサポートしてくれるのが「敷金診断士」です。
結局、通常使用の場合、敷金の返還等について国土交通相がガイドラインを定めていますが、それは「ゴミ屋敷状態」の場合、それが当てはまるのかどうか知りたいのです。
現状「当てはまる」という考えが主流です。
当てはまったとしても、ゴミ屋敷にされたことによる「汚損」については、賃借人の責任を追及することは、何とかできるかもしれません。
これ以上の戦い(?!)になるとしたら。
敷金の返還に関する訴訟、あるいは法律上の相談は最寄りの弁護士さん、あるいは簡裁代理人認定司法書士さん等とご相談する道が妥当と考えます。