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ごみ屋敷で発火! 火事の責任はだれに?

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ごみ屋敷で発火! 火事の責任はだれに?

【失火責任法】

民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

法律は近代法治国家の骨格である。

日本は明治憲法をかわきりに大戦を経て現在の法律をえている。
殆どは公明正大・公正・公平である。また、べきだと思う。
しかし、私たちの日常生活では現実的に不公正と云わざるをえないことが存在する。
この「失火責任法」も理不尽極まりないと考える。

まず、ゴミ屋敷が発火・失火する負の温床であることを具体的に説明したい。

ゴミ屋敷とは粗大ゴミから生ゴミや生活のあらゆるゴミを家の中だけでなく、家の外にも片付けることなく放置している家です。
昨今、マスコミでもよくとりあげられ映像をご覧になった方も多いことだろう。

年齢も老若男女関係なくゴミ屋敷をつくる人間は増加傾向になります。
放置してしまうと起こるのは悪臭だけではありません。

ゴミ屋敷に多いトラブルのうち、多いのが実は火災です。
放置したゴミに放火されたり、タバコがゴミに引火したり、ゴミに近接したコンセントから埃が入り込んで火災を引き起こしたりと原因は複数に及びます。他にもゴミから発生したガスに気付かずにいると、ライターなどの小さな火でも瞬時に燃え広がってしまう可能性があります。視覚的なインパクトが強いゴミ屋敷ですが、このような危険性を孕んでいることも忘れてはなりません。
ゴミ屋敷は火災の原因・発火の可能性が高いのです。

ゴミ屋敷がかかえるトラブルの中でも重大なものが火災による延焼です。
一戸建てならば我が家を失うことになりますし、賃貸の場合は周囲への影響も考えなくてはなりません。
ゴミ屋敷が火災を起こしやすいのは、まず見た目の問題です。ゴミが散乱した部屋は窓からも分かります。

このような家は住人があまり外に出ない、外の騒ぎを気に留めない傾向にあると考えられている為、放火に絶好の対象として認識されます。
放火を免れても埃がコンセントに入ったり、ゴミのガスが充満した状態でライターを使ったりするだけで瞬時に発火することも。

コンセントには専用のカバーを付ける、コンセント付近にゴミを置かない、先に家の周りだけでも綺麗にしておかねばなりません。
ゴミをまとめる時も、ガスが発生しやすい生ゴミと水分などで発熱する物質を一緒にしない注意も必要です。
スプレー缶も別にしておき、ガスが部屋に溜まらないようこまめに喚起もします。

失火の危険は、普通の家屋に比較して多いことがお解りになりましたか?

非常に残念な一例を共有したい。

愛知県豊田市で、2015年8月25日 夜、蚊取り線香からの引火でゴミ屋敷から出火し近隣住宅3棟が全半焼した火災は、ゴミ屋敷の蚊取り線香の火が周囲の新聞紙などに燃え移ったのが原因らしいことが分かった。
ゴミ屋敷の家主(76)は「自分は2階で寝ていた。今後もここで生活する」と話している。
近隣住民につめよられた彼は「時間をかけてあやまってゆくしかないでしょ」と逆キレ気味だ。

被害を受けた隣家はたまったものではない。ゴミに悩まされ、あげくに家まで燃やされてしまったのだ。刑事責任や賠償はどうなるのだろう。

それで、許されるのだろうか?

冒頭の法律文を現代語訳しよう。

民法709条「故意でなければ延焼の責任問われない」

そう、信じられないことに”許される”のである。

隣人トラブルに詳しい谷原誠弁護士は「ゴミ屋敷問題が難しいのは、自分が所有する敷地のなかで火災が起き、憲法が保障する財産権の範囲内のために住んでいる家主にも権利がある。それで法的対処が難しくなる」という。

損害賠償請求については民法709条(不法行為による損害賠償)では故意、過失によって他人の権利を侵害した者は損害を賠償する責任を負うと明記されている。ところが、この709条には但し書きがあって「失火ノ責任ニ関スル法律」で709条の規定は適用されないことになっており、例外として「但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハコノ限リニ在ラズ」となっている。「失火ノ責任ニ関スル法律」は明治32年に施行され、当時はほとんどが木造建築で出火すればかなりの数の延焼が免れなかったため、膨大な金額になる損害賠償は不問とされていたようだ。

失火責任法は1899年(明治32年)に出来たもの。

その頃は木造家屋が多く、火が出て丸焼けになったら人の家の話どころではない。相身互いという互助精神が立法趣旨にあるようだ。

法の原則として、特別法(ここでは失火責任法)は一般法(ここでは民法)に優先する。
ただ失火責任法には但書があって(殆どの法律の条文には但書という例外規定がある)重大なる過失(重過失)は損害賠償責任が伴う。

では、失火責任法にいう重過失とは判例からすると、天ぷら油に火を付けたまま外出、寝タバコ、石油ストーブの火を付けたままの給油中の事故などである。

私見であるが・・・ゴミ屋敷をつくるような人間、被告本人に賠償資力があるとは思えない。実質、泣き寝入りである。
勿論、隣家は防衛上、火災保険に入っていると思うが火災保険は自分の家を守るもの。個人賠償保険は延焼を賠償するもの。
民間の保険での補填も仕方ないが根本的には失火法の改正が必要に思う。

こんな例外規定は世界中で日本だけだと火災保証に詳しい弁護士がコメントしていた。
行政から精神的なケアが必要ではないか。

行政代執行法で税金を使ってゴミを片付けても繰り返される。
本人の心の病を救済する手立ても必要だと考える。

”泣き寝入り”の現実の前になんとしてもゴミ屋敷そのものを撲滅せねばならない。

これは近隣だけではなく地域広域、都道府県、国の行政の問題であると認識を新たにせねばならない。

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